イギリスがEUを離脱するというニュースはこの数年間でちらちらと耳にしていると思います。
私が日本にいたら「ふーん」くらいにしか思っていなかったであろう…と思います。
でもこれが世界の大きなニュースなんです。
- なんで?
- 何が問題なの?
- そもそもなんで離脱したいの?
- いつするの?
という疑問について、政治トークに精通していない私のレベルで見て、説明したいと思います。
イギリスがEU離脱する理由を簡単に説明
そもそも…イギリスとは?
まずイギリスとは何なのか。
イギリスは和製英語です。
「あぁ、Englandでしょ?」
と思いますが、今回のEU離脱の話でいうイギリスはUK(ユナイテッドキングダム)のことです。
昔、社会科で習った「グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国」というやつです。
グレートブリテンというのは
UKで一番大きな島のことで
- イングランド
- スコットランド
- ウェールズ
の3か国があります。
なので、グレートブリテン+北部アイルランドの連合王国なんですという名前になっていて、UKと呼ばれます。
(南側のアイルランドはアイルランド共和国という別の国です)
上の図を見ても、イギリスのユニオンジャックの国旗はイングランド+スコットランド+北部アイルランドを合わせたものだとわかりますね。
(歴史背景と国旗制定の時期から、ウェールズの要素がユニオンジャックに含まれていません。)
他にもブリティッシュという呼び名があり、ブリテン島出身の人を言いますが、UK出身という意味で使用する場合も多く、北部アイルランド出身の人をブリティッシュに含めることもあります。
はっきりと明確なラインはなく、個々の好みも強く関係します。
日本の感覚で言うと、どこかの国と連合して一つの国を作るという感覚がないので、「連合王国」という感覚が理解しにくいですが、世界にはそういう国もあるのです。
EU離脱とは?
EU離脱のことを「ブレグジット」(BREXIT)と呼んでいます。
Britain+Exit=Brexit
ブリテンがEUを出ていくよーということですね。
2016年6月23日に行われた国民投票でEU離脱派が多数となりました。
なんでEU離脱したいの?
EU加盟国は各国の法律のほかに、EUとしてのルールがありそれを守る必要があります。
そもそもEUに加盟するということは大きな一つの国になったようなものなので、EU加盟国同士の行き来が自由で、住むことも働くこともできます。
違う国だけどEUルールを作って自由に行き来しましょうと。
自由に行き来できるがために移民難民の受け入れが発生します。
移民難民の増加
この受け入れをしたくない!という声がUKで高まったのが離脱派勝利の大きな要因でした。
「え、受け入れないなんて、UKいじわる…」
と思いますか?
UKはEUトップクラスの経済大国。
ヨーロッパは豊かなイメージがあるかもしれませんが、EU加盟国の中には東欧を中心に経済的に貧しい国もあります。
もしあなたがその貧しい国に生まれていたらどうでしょうか。
同じ仕事をして、3倍以上の賃金をもらえる国に移住してもいいと言われたら移住したい人がたくさんいるのは想像がつきますよね。
UKにはポーランドからの移民が多いのですが、最低月収の差で言うと下記のとおり。
- ポーランド 480.20ユーロ/月
- UK 1,463.80ユーロ/月
※ 2018年7月時点
難民も一緒で、どうせ行くなら豊かな国に行きたい。
そして条件のいい国に行きたい。
UKは難民にとって条件がいい国なの?
UKは亡命者としての身分を簡単に取得することができると言われています。
亡命審査が行われている間も、住居と食料とお金が支給されます。
国内に6カ月以上留まると労働許可証も支給されます。
他のヨーロッパ諸国にあるIDカード制度がないため、犯罪者として疑われているとき以外は国籍などについて聞かれることがありません。
例えばフランスでは難民にお金が支給されますが、働く権利はありません。
制度上は難民センターにおいて住居を探す手助けをしてもらえることになっていますが、実際は自分たちで探さなくてはならないのが現状。
日常生活でIDカードが必要で常に難民であることがついてまわります。
難民は難民と区別するのか、難民にも公平さを持ち「多様性の理解」を大切にするのか、このことで各国の対応はまちまち。
その結果難民は、公平であるべきという対応をしているUKを目指すのです。
その増えた移民難民の社会保障は誰が払うの?
→UKの税金から支払われます。
「自分たちの保障だって満足してないのに、じゃんじゃん流れてくる移民難民に自分たちが収めた税金が使われるなんて、納得いかない!」
その感情も理解できなくはないですよね。
しかもその人たちには働く権利があるわけです。
「自分たちの仕事が奪われる!!」
と考える人たちがいるのもわかりますよね。
日本でもアジアからの労働力について、この議論を聞いたことがある気がします…
EU離脱したらどうなるの?
メリット
EUのルールに従わなくていいので、移民難民を受け入れるかどうかを含め自国で判断できます。
デメリット
自由に行き来できなくなる
今までEU内は自由に移動できていましたが、EUを離脱すればもちろん他の外国同様、出国入国の手続きが必要となります。
ユーロスターという海底列車でのフランスとの行き来、北アイルランドとアイルランド共和国の行き来に対して、外国として手続きが必要となります。
今、フランスで仕事しているイギリス人はどうなるの?
UKで仕事しているドイツ人はどうなるの?
イギリス人の彼女としてパートナービザを取得してフランスで仕事している人たちはどうなるの?
などなど…
これらについて法の整備が必要となります。
関税がかかる
貿易についてもEU内では関税がかかりませんでしたが、他の外国同様、各国と関税について取り決めをしなければいけません。
大手企業オフィスが撤退する
EUトップクラスの経済大国ということで、UK、特にロンドンにオフィスを構える世界的な大企業たちがいます。
この企業たちがUKにいてくれることで経済が潤っていたところもあります。
しかしUKがEUを離脱した場合、EU内にオフィスを置きたい大企業はドイツに移転するであろうと言われています。
UK経済の衰退
UKは日本よりも小さな国土で気候も寒いため、農業大国ではありません。
工業については、かつて産業改革(手工業→機械工業)を始めた国ではありますが、現在は安い労働力の東南アジアなどには太刀打ちできません。
UKの主要産業は、金融・観光業です。
大手企業が撤退、自由な行き来ができなくなる…
EU離脱後、UK経済の衰退が想像されます。
国民投票した時には把握していなかったデメリットもわかってきた今、3年前の判断のまま進んでいいのだろうか…?
いつ離脱するの?
2020年1月31日午後11時
過去に度々延期を重ねてきて、ついに正式に離脱しました。
過去の延期の理由については「イギリスはEU離脱…しないの?延期?どうなってるの?」に記載しています。
離脱後どんなことが変わったのかについては「ついにイギリスがEUを離脱(ブレクジット)!何が変わるの?」に簡単にまとめました。
離脱しない方がいいんじゃない?
ドーバーにある #バンクシー の描いた #ブレクジット の壁画がなくなっていてびっくり!
— Miya🇪🇸@旅ブロガーTabit Info (@TabitInfo) December 3, 2019
建物が売りに出されているから、絵まで売られないように塗りつぶされたらしい。
こんな簡単にブレクジットもなかったことにならないかな。#イギリス pic.twitter.com/jNO55RknuC
そう考える人は若い層を中心に少なくありません。
国民投票の結果では、35歳以上は半数以上が離脱派と言われています。
逆に34歳以下は残留派と言われています。
若い層にはほかのEU加盟国を行き来できるメリットや可能性を感じている人が多く、過去のイギリス、EU加盟前のことはわからないので、EUに残りたいと希望している人の方が多く、
逆に、過去の栄光を知り、別に他の国に行きづらくなったって支障がないと考える人が多いと言われる年配層は、EUを去り自国のルールで動ければうまくいくのに!とEU離脱を指示する人が多いと分析されています。
昔の方がよかった…
年配層にはそんな風に言う人も多いです。
そもそも、そんなに経済状況が悪かったの?
いいえ、悪くなかったんです。
UKは世界トップクラスの経済大国。
悪く見えてしまったのは、他と比べたり、過去と比べてしまったから。
しかし経済成長率をぐんぐんと伸ばしている国と比べると、経済が悪く見えてしまったのです。
過去の栄光とは…
UKはかつて大英帝国という名を持ったほどの大国でした。
- 領土:3370万(?)(1922年)
- 人口:4億5800万人(世界人口の20%)
グレートブリテンという名前であるのも納得です。
このグレートについては「俺たちは素晴らしいんだぜ」と言っているのではなく、「大きい」という意味です。
大=グレート、英=ブリテンです。
この時代を生きた人が現在もたくさんいるわけではありませんが、これらの歴史的背景からUKとしての誇りを持つ人たちが多いと言われています。
この後どうなるの?
誰もが知っている事実。
それは、この後どうなるのかは誰も知らないということです。
離脱するにしても、まだ何も制度が整っていない…
状況が見えないのでとりあえず移転を始めた企業があったり、ハーフの人たちは他国のパスポートを取得したりしています。
UKと他のヨーロッパの国のハーフは多く、その人たちは父の国のパスポートも母の国のパスポートも取得できます。
UKでは日本とは違い、2つの国のパスポートを取得することは許されています。
例えば私の彼ジョーの場合、イギリスとマルタのハーフです。
彼はイギリス国籍もマルタ国籍も持っています。(イギリスとマルタは二重国籍が認められています)
なのでイギリスがEUを去ったとしても、マルタ人としてEUの国を自由に行き来できるわけです。
ジョーのようなハーフたちは、今まで気にしてこなかったもう一つの国籍のパスポートやIDカードを申請し始めています。
他にもスコットランドはEUを去りたくないので、Brexitが起きるならUKを去ると言っていたり…
いろんな情報が飛び交い、混乱しています。
みんな何が起こるかわからなくてやきもきしています…。
追記:2020年1月31日に離脱しました。どんなことが変わったのか簡単にまとめた記事もお読みください。
「へーそうなんだーイギリス人の友達に話してみよー」
と思った方は少し慎重に。
この何も見えない状況を快く思っていないイギリス人は多く、とてもナイーブな話題です。
Brexitについて議論を始めて、ケンカになる場面も見てきました。
私なりに調べてまとめた結果です。
もし間違っているよという内容があれば、優しくご指導いただけると幸いです。(優しくお願いします。)
最初に述べたとおり、政治に精通してない視点で見たニュースです。
政治って難しい…という思いが少しでも減るように願いを込めて記事にしてみました。
イギリスの首相はダウニング街10番地に住んでいます。ロンドン観光ではダウニング街の入り口まで行くことができます。私が無料ウォーキングツアーに参加していってきた時の記事はこちら「ロンドンストロベリーツアーズ 無料の街歩きに参加してみたよ」
政治記事を書いていますが、私は旅ブロガーです。2020年12月現在はノマドとしてスペインのグランカナリア島に滞在しています。
常春の島と呼ばれ、年中温暖なビーチリゾートとして知られています。
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