就労ビザの取得方法は国によって、そのタイミングによってそれぞれです。
ビザに関する法律は日々変わり続けていますので、私がマルタで就労ビザ取得の手続きをした2019年6月の状況をシェアします。
私はマルタが海外就労ビザ取得2か国目で、1か国目のニュージーランドと比べると全くの別物でした。
ニュージーランドでの取得についても今度記事にしますね。
私のケース
- 観光ビザで滞在中に就職
- 英語は話せる(が、ネイティブレベルではない)
- 会社の人事が積極的にビザの手伝いをしてくれた
- 会社には契約しているビザアドバイザーがいた(弁護士)
- 申請する就労ビザタイプは「Key Employee Initiative」が受理されず、「Single Permit」
マルタで就労ビザを取得する流れ
- 就職先を見つける
- 応募書類を集める
- アイデンティティマルタに応募書類を提出に行く(費用を払う)
- 書類が認められると青い紙がもらえる
- 1か月ほどでプラスチックのレジデンスカードが出来上がり、アイデンティティマルタに受け取りに行く
応募書類を集めるまで
応募書類を集めるまでが第一の難関です。それまでのプロセスはこちら。
これはKey Employee Initiative(重要な主導権を持った従業員)としての必要な書類で、応募する就労ビザの種類によって必要書類は変わります。
- 就職先を見つける
- 長期で部屋を借りる
- 保険に入る
- 前職からレファレンスレターをもらう
就職先を見つける
まず、雇用先が決まっている必要があります。そこからして難関…と感じる方もいるかもしれません。
就労ビザというのは雇用先企業と一緒に協力して取得していく必要があります。
私が就職先を見つけた流れは「海外就職ヨーロッパ 観光ビザで仕事に応募?マルタ編」に記載しています。
就職先が見つかったら、契約書を交わします。この契約書は就労ビザの申請時にも必要になります。双方のサインを全ページにします。
Key Employee Initiativeの場合、年収30,000ユーロ以上であることが契約書に明記されている必要があります。
無犯罪証明を発行してもらう
ビザの申請に無犯罪証明が必要で、警察の大元みたいなところへ行ってきました。
— Miya🇪🇸@旅ブロガーTabit Info (@TabitInfo) May 8, 2019
担当の警察官に「日本はトーフだろ?」と格闘ポーズをされたのでカンフー?と聞いたけど、トーフとゴリ押しされました。
トーフという格闘技をご存知ですか?
私はすでにマルタにいたのでマルタの警察「Police Headquarters」で発行してもらいました。
長期で部屋を借りる
就労ビザの申請には部屋の長期契約が必要です。
契約書とレンタルデクラレーションフォームという二つの書類が必要になります。
契約書は大家さんにコピーをもらいましょう。
レンタルデクラレーションフォームはアイデンティティマルタのホームページまたはオフィスにあります。
このレンタルデクラレーションフォームはコピーではなく原本を持っていくようにとアドバイザーから言われました。
保険に入る
保険に加入している証明を提出する必要があります。
私の会社は、保険料は会社負担で加入させてくれました。
前職からリファレンスレターをもらう
リファレンスレターというのは退職した企業に書いてもらうもので、
「この人は私たちの企業でどのくらいの期間どんな仕事をしていて、素晴らしかったよ。おすすめするよ。」
というお手紙のことです。
マルタでのビザ申請に必要になるので、英語で書いてもらいましょう。
リファレンスレターは就職の時点で提出する場合もあります。「この人を雇った方がいいよ!」とおすすめしてもらうのです。
Key Employee Initiativeの場合、3年以上の実務経験が必要なのでその証明としてビザ申請時に提出します。
今回私が雇用された一番の理由は「日本語と英語が話せること」なので、前職のボスたちに連絡しその旨を目立たせたリファレンスレターを書いてもらいました。私の場合は前職がニュージーランドとカナダの企業なので英語で書いてくれます。
幸いなことにボスたちとは退職後も時々連絡を取っていて、忙しい中、快くリファレンスレターを書いてくれ、がんばってねと言ってくれました。(ありがとうございます涙)
1つの仕事に3年ではなく、その合計期間が3年以上であればOK。
これらを用意してビザアドバイザーに書類を見せてアドバイスをもらいます。
アドバイス① 書類の並べ方
アドバイザーは提出書類の目次をくれ、この目次通りに書類を並べて持っていくようにとアドバイスをくれました。
その目次はアイデンティティマルタのサイトに載っています。
その目次自体を一番上に置き、その目次通りに書類を並べて提出しました。
アドバイス② 申請料金は現金できっちりその額を持っていく
現金での支払いが必須ということで、280.50ユーロきっちりおつりのないよう持っていくようにとアドバイスをくれました。(私の会社はこの費用を負担してくれます。)
アドバイス③ 可能であれば予約が取れる >要予約に変わっています
Key Employee Initiativeの場合は、アイデンティティマルタに電話すると10日後くらいに予約が取れるそうです。(混雑状況による)
これは知らない人も多いようです。
マルタではオンライン申請がないのでアイデンティティマルタに赴き書類を手渡しする必要があります。
朝7時30分に開門しますが、1日の人数制限があるため、早い人は朝3時から並んでいます。
予約が出来るなら並ばなくていい!素晴らしい!!
ただ残念なことに、私は10日間待つ余裕がありませんでした。
観光ビザがその前に切れてしまうので今すぐ申請に行く必要がありました。
申請中であれば観光ビザが切れてもマルタに滞在できるので、観光ビザが切れる前までに申請中にならなくてはいけないのです。
会社からアイデンティティマルタに電話してもらいましたが、予約はすぐには取れないと言われ、直接行くことにしました。
アドバイス④ 直接行く場合は遅くても朝5時半までに
驚きませんか?
朝7時半に開門する役場前に遅くても朝5時半には並んで開門を待つんです。
これはマルタで働くEU外国籍の人の間では有名な話。
過酷です。
幸いにも6月は春の気候でちょうどいいので助かりました。
夏は日が昇った後暑くてたまらないらしいです。冬は寒いし。
遅くても朝5時半って本当かなと思うかもしれません。
これは日によります。
私と同日入社した子は最初に朝6時に行って遅すぎたそうです。遅すぎると定員に達してしまい手続きしてもらえません。
こんな早朝から並ぶのは1回で十分ですよね。
なので、完璧な書類を完璧に提出することがとても重要です。応募書類が不足していると、やり直しになります。また早朝から並ぶことになるのです…
ここまでが「応募書類を集める」の作業です。
この後実際にアイデンティティマルタに書類を持っていきます。
提出に行く
※現在は事前にアポイントメントを取ってから行きます。最新情報をご確認ください。
場所
バレッタのセントエルモという通り沿いにあります。
2020年Non EUの部門はイムシーダに移動しました。
行き方
始発で到着するバスでも6時過ぎ着なので、5時半前から並ぶためにはタクシーで来ることとなります。
もちろん住んでいる場所によりますが、私はセントジュリアンに住んでいるのでタクシーに乗りました。
マルタではアプリで配車予約をするのが一般的です。(Uberみたいなもの)
Boltというアプリで出発地と到着地を明確にできること、降車後にドライバーの評価をするのでトラブルが起きづらいこと、登録すればクレジットカードでも支払いができることなど、利用しやすいシステムです。
列に並ぶ
マルタ
— Miya🇪🇸@旅ブロガーTabit Info (@TabitInfo) June 6, 2019
ビザ申請には
日の出前から並びます pic.twitter.com/vqI7oalkgx
到着したのは4時20分ころ。87番目でした。
4時台は私たちの後ろにあまり列はありませんでした。5時40分頃からたくさんの人が来ました。
5時30分がベストというアドバイスは本当のようです。
人によっては敷物を持ってきている人、イスを持ってきている人、マットレスを持ってきている人など、長時間路上で待つ準備をしてきていました。
運動会の場所取りの列を思い起こさせました。
私はキンドル愛用者なので持参し読んでいました。
夜明け前は真っ暗ですが、キンドルのバックライトがあるタイプは暗闇でも読めるのでうれしいです。
お水と果物を持っていっていたので、時々食べたり飲んだり。トイレはありません。
6時5分頃に最初のバスが通過しました。バスで来た人もいました。
開門
7時20分くらいになると列が前へと動き出し、7時30分に開門しました。
どどどーっと押し寄せることはなく、みんな粛々と自分の番を待ちます。
レセプションで「NON EU, first time」というとそれにあった番号をくれ、ドアを指さしてくれます。
これはEU国籍ではなく、初めての応募ですということで、それ専用の部屋があります。(レセプションに向かって右)
屋内で待つ
このチケット…めっちゃアナログですよね…ここからまた待ちます。
部屋の中には電光掲示板があり、番号が表示されます。
自分の番号が表示されたら中に入ると言う流れです。
この番号が表示され3回呼んでも来なかったらあなたの順番は飛ばしますと書かれているので、自分の順番が近づいたら電光掲示板の近くで待ちましょう。
実際1回しか呼びませんでした。
建物内にはトイレがありますが、自分の順番が呼ばれるタイミングを考慮して使用しましょう。(トイレットペーパーがなかったのでティッシュを持っていった方がいいかも。)
自分の番を逃してしまったと思われる人も見かけました…。すごく辛そうでした…。
番号の呼び出しは1番からではなく、21番から始まりました。
理由はわかりませんがもしかしたら20人の予約が入っていて、予約者の番号の後の番号から配布されているのかもしれません。
7人ずつ扉の中に通され、ドアが閉まります。20分ほど経つと次の7人が呼び出されます。
これは目安で、もちろん人によっては手続きにとても時間がかかる人、早く終わる人がいて、部屋の中で通された7人が待っていて、列が短くなったら次の7人を通すという仕組みです。
私より前の番号をもらった人が書類に不備があることに気づき、自宅に戻りたいので番号を替えてくれないかと言われました。
もちろん喜んで替えました。おかげで68番になりました。
他にも現金を持ってきていない人もいました。
連れの人が走ってATMに行っていました。
ここまで来て何か不備があるのは本当に冷や汗ものなので、何度も何度も事前にチェックしましょう。
みんな早朝から待っていて、2度もこんなことしたくないので必死です。
9時10分に私の番号68番が呼ばれました。
ここで書類を受理してもらえるかどうかで今日一日の頑張りが報われるかが決まります…
入室した後、私が見ていた範囲の人でも、2人は却下されていました。
却下されてもなかなか納得できず、食い下がる人も多いです。(怒り出していました…)
却下されるということは、また別の日に並びなおすことを意味するので必死なんです。
私もとても緊張しながら待っていましたが、アドバイザーに言われたことをきちんと守って手続きに行ったところ、とてもスムーズに終えることができました。
担当者がチェックしているのをじーっと見ながら待つんですが、実際に担当者も私が持って行った目次を使ってチェックしていました。(全部手作業です)
彼らもチェックポイントがあるようで、各書類の名前にチェックマークを付け、リファレンスレターは期間の計算をして書きだしていました。
期間計算チェックでひとつ漏れているな~と思ったときに思い切って「ここに書いてあります」と伝えると「ありがとう」と言ってチェックしてくれました。
評判はいろいろありますが、私にとっては好印象でした。
全ての書類を、順番通りに、現金もきっちりと提出したことにより、チェックをしている担当者も全部わかって来ていることへの信頼感があったと思います。
ビザアドバイザーってすごいね。
— Miya🇪🇸@旅ブロガーTabit Info (@TabitInfo) June 7, 2019
今回会社が契約してるビザアドバイザーが全書類をチェックして、並べて、持って行く時はこの目次と一緒に出してね。順番も目次に合わせてね。と言われその通りにしたら、チェックがサクサク進み、全部わかって申請してると信用され、すぐ承認された! https://t.co/KgOMdD26fq
全ての確認が終わると、指紋の採取、写真撮影が行われ、青い紙にビザ申請中の旨が書かれたものが印刷され渡されます。Application for Residence in Malta(通称ブルーペーパー)というものです。
この青い紙を受け取り退室した時には10時になっていました。
ビザ申請中は出国できないので、つまりは私は観光ビザが切れた後も滞在していいと認められたのです。(むしろ申請中は国外に旅行などにも行けません。)
これは申請料金280.50ユーロの領収書にもなっています。
私の会社ではこの申請料金を会社が負担してくれるので、これを人事に写真で提出すると翌月の給料と一緒に返金してくれます。
Key Employee InitiativeがDeclineに
3週間くらいしてアイデンティティマルタからメールが届きました。
Key Employee Initiativeとしては受理できないから通常のSingle Permitとして受理します。
正直私はどっちでもいいんです、何が違うんですかね…?という感じでした。
会社とビザアドバイザーは理由を聞いてくれというので、理由を聞きましたが音沙汰なく。会社としては違うのかも…
Single Permitに申請する場合は追加資料が必要なので、会社側が用意してくれました。
追加で提出した資料
- 募集広告(ネットと新聞)
- ジョブディスクリプションフォーム
これをメールで送信しました。
数日後、アイデンティティマルタの他の人から追加資料として上記の二つを提出するようにメールが来ました…。
そこ社内で共有してよ~と思いますが、マルタってそんな感じです…。
○○さんに提出しましたがこちらにも添付いたしますと返信しました。
【追記】2022年に申請した際はKYEでビザが取れました。
通知が手紙で自宅に届く
レジデンスカードができあがると、封書が自宅に届きます。ポストはこまめにチェックしましょう。
追加書類のメールを返信してから2週間ほどで届きました。
カードができたから営業時間内にとりにおいで~というお知らせです。
営業時間は月~金、7時30分~13時です。
カードを受け取りに行く
今回は受け取りだけなので早朝に行く必要はありません。
持ち物は手紙に書いてある通り。
- 手紙
- ブルーペーパー
- パスポート
これを持ってアイデンティティマルタに行きます。申請と同じ場所です。
入り口を入って左手に受け取りの窓口があります。
病院の受付のようにガラス張りで中に人がいます。
この窓口で手紙とブルーペーパーを渡します。
めちゃくちゃアナログですが、奥に何番から何番と番号が書かれた箱がずらっと並び、対象の番号を探し出していました。
カードが見つかると持ってきてくれ、サインをして終了。(パスポート…使わなかった)
これがワークパーミット取得までの流れです。
いろいろと予想外のことが起きたりもします。
予想以上に時間がかかったり、言ってることが人によって違うという話も聞きます。
とてもストレスがかかる作業ですが、マルタで働くためには避けて通れないものなので、気長に頑張ってください。
いろいろな人たちとビザ取得について話ましたが、私のこの流れはかなりスムーズな方です。
よくわからない理由で却下された、カードが届くのに3か月かかったなども聞きました。
この就労許可は1年間有効です。1年後に更新があり、その際は簡単な健康診断が必要と聞いています。初回は必要ありませんでした。
このカードがあればマルタ在住としてEUのレボリュート口座が持てます。
レボリュートはめちゃくちゃ便利なので口座を持つことをおすすめします。(無料)
マルタはシェンゲン協定国なので、就労ビザがあるとシェンゲン協定国内90日間までという滞在制限が外れます。
ヨーロッパはLCCがたくさんあり、数千円で各国に旅行できるので、周辺諸国を旅するのもヨーロッパに住む楽しみの一つだと思います。
冒頭にも書きましたがビザについては常に変わり続けます。参考までに読んでいただけたら幸いです。
マルタってどんなところ?という方は、ブログでご紹介していますので「マルタ」をご覧ください。
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