コロナが流行して以来、リモートワークを取り入れる企業も多くなってきています。
リモートワークの導入には環境整備が必要です。
私がマルタ共和国で働いていた会社はコロナに関係なくリモートワーク環境が整っていたので、どんな環境だったのかをご紹介します。
リモートワーク対応にはどんな環境が必要?
まず、すべてがオンライン(インターネット)で解決する必要があります。
ノートPCの支給
当然ですが、PCがないとオンライン作業ができません。
今では多くの企業も同じだと思いますが、ノートPCを全員に一人一台支給されます。
PCにログインするには会社から個々に渡されるパスワードを入力し、さらに指紋認証をする必要がありました。
オンライン化するうえで、セキュリティが一番の課題となります。
電話なし。スラックとZoomで連絡。
まず、オフィスに電話機は一つもありませんでした。
そもそも会社の電話番号も知りませんし、見つけられないので、会社自体に電話がないのではないかと思います。
電話があればリモートワークができないわけではないのであってもいいですが、何かあるたびに電話をしていては、直接同じオフィスにいた方がいいと感じてしまうと思います。
文字でメッセージを送受信しあう環境があれば、リモートワークでも違和感がありません。
スラック(Slack)
スラックとはLINEのようなアプリです。メッセージや写真を送ったり、グループチャットができます。
入社すると全員がスマホにスラックのアプリをインストールするように言われます。(以前はスマホの購入支援金を出していたそうです。)
PCにもスラックをインストールします。
会社のコミュニティがあり、その中でやり取りします。そのコミュニティには会社で働く人(フリーランスを含む)しかいません。
700人以上の社員がいて、スラックの中で名前を検索すると誰にでもメッセージを送ることができます。
グループチャットを作ることもでき、同じプロジェクトで働くチーム、同じ言語のチーム、エクササイズ仲間、冗談を言うグループなど仕事関係も仕事と関係ないものもありました。
絵文字もガンガン使ってOK!
個人をクリックすると簡単なプロフィールが表示されるので、どこのオフィスで働いているか、どこの国出身か、などが簡単にわかります。
自分の状況をアイコン表示できるようになっているため、個々の名前の横を見れば「休暇中」「病欠」「ミーティング中」「返信できない」などわかり、誰かに聞くことなく理解できます。
オフィス勤務時に隣の席の人でも用事があるときでさえ、最初にスラックでメッセージを送っていました。
「ねぇねぇ」と話しかけられると作業が中断されるので、先に「あなたの手が空いたら質問したいです。」とメッセージを送り、相手が「何?」と聞いてくれるまで別の作業をして待ちます。
その環境からリモートワークになっても、特に違和感はありません。
Zoom
リモートOKの職場だったので、会議は基本的にZoom対応。各会議室にカメラとスクリーンが設置されていました。会議IDをシェアすることで、リモートでも会議に参加することができます。
オフィス勤務・リモート勤務は自由だったので、当日の朝にマネージャーにスラックで
「今日は家からリモートワークします。」
と送れば出勤しなくてOK。当日に会議があるときは家からZoomで参加という流れです。
Zoomはスクリーンシェアができるので、自分で作った資料を見せるときは自分のスクリーンをシェアするボタンを押してみんなに見せます。紙の資料を配る必要はありません。
電話はかけない
リモートかどうかに関係なく、基本的には文字で会話しました。
必要のないミーティングはしないし、スラックで通話もできますがしません。
ホリエモンではないですが、電話は時間が無駄になりやすいと思います。
ペーパーレス
紙で何かが配られるということはほぼゼロ。
プリンターは各階に1台ありますが、使うことはまれで、プリントアウトできる人は管理職に限られていました。
必要書類はGoogleドライブやメールでのやり取り。なので、リモートだから資料を受け取れないということはありません。
まじめに働いているかどうかのチェック
オフィス勤務の時に「今日は家から働きます。」という場合は、大体朝から夕方くらいまではスラックで連絡取れるようにしていました。大事な連絡したいのに何時間も連絡が取れないということは避けた方がいいです。
私は旅行しながらリモートワークをしていて、アメリカやフィリピンから働いていたので、時差がありました。その際は好きな時間に働けばいいと言われていたので、何時間も返信できないこともよくありました。
それじゃあきちんと働いているか確認できない!
と思うかもしれませんが、結果重視です。実力主義です。何時間デスクに座っていればOKという仕事ではなくて、結果が出なければ普通にクビになる職場でした。
最終勧告が出てから1か月で改善されない場合はクビで、まじめに毎日出勤していても実際にクビ勧告をされているのを見たことがあります。
まじめに働いているかどうかというよりは、結果を出せているのか会社に貢献しているのかどうかを数値でみるため、勤務態度のチェックは特にありません。
なので、リモートワークではどのように業務管理がされているのかも重要になると思います。
タスクを管理するツールとしてJira(ジーラ)というシステムを使用していました。
ジーラでは何をするか・どんなカテゴリーの仕事か・いつまでか・重要度などが設定でき、他の人にタスクを投げることもできます。
文字できちんと指示が出るので、意味不明なアレやっといてというような指示はありません。締め切りもはっきりするので自分のスケジュールを立てやすいです。
マネージャーはどんなタスクをどのくらいこなしたかをジーラ上で見られるため、チェックしやすくなっています。作業する側としても無駄に業務報告書を書かなくていいので便利。
申請はオンラインで
会社のシステムにカレンダーがあり、休みたい日をクリックして休暇を取ります。
なので、無駄な休暇申請のやり取りやお伺いがないのもオンライン化の上で大切だと思います。
周りにこの日休んでもいいか?と聞かなくてはいけない状況だと申請もしづらいものですが、その会社では休暇中に楽しんでいる写真が送られてきたり、お互いの休暇にとてもポジティブなので、罪悪感を全く感じずに休暇をとることができます。
なのでオンラインでポチっと休暇が取れる環境があれば、スムーズにリモートワークに切り替えやすいです。
休暇のみならず、保険の申請、エクササイズ補助金の申請など、すべての申請がオンラインできできるようになっており、申請のためのマニュアルもシステム上で読めるようになっています。
退職する際の辞表もメールで送信してOKでした。
リモートワークの不安
リモートワークに切り替える上で、不安になることもあります。
リモート時のセキュリティ
会社のシステムにアクセスするためには、決められたIPアドレスを使用する必要があり、そのIPアドレスを使用するためのシステムが別にありました。VPNのようなもので、どこにいてもIPアドレスを特定のものに変えられるシステムです。
必須のEラーニングがいくつもあり、その中にネットリテラシーについて学ぶものがあります。メールにある不明なリンクを開かないこと、カーソルを載せるとURLが変なものがあるのでたいていそれは詐欺ですよというような内容など、ネットを使う上での注意事項を学びます。
コミュニケーションが十分に取れないのでは?
機会を作れば大丈夫!
オフィス勤務とリモートワークが両方選べる場合は、オフィス勤務の時に朝食や昼食を一緒に食べて話していましたし、金曜は1時間早く仕事が終わりみんなでビールが飲めるようになっていました。チームビルディングというイベントで、みんなで出かける日も設けられていました。
そのような配慮でコミュニケーションが取れるようになっていたので、日常のスラックでのやり取りでも、みなさんがLINEでやり取りするように仲良く楽しく会話できていました。
完全リモートワークの人はそういう直接的なコミュニケーションが取れませんが、私の職場にいた完全リモートの方は、たまにマルタに来てオフィスを訪ねてくれることがあったり、こまめにスラックで連絡を取ることで仲良くなった感覚があり、その方がいる国に行った際に一緒にカフェに行ったりしました。オンラインだからうまくコミュニケーションが取れない・仲良くなれないと感じたことはありません。
ここまでの環境を整えるのはとても時間とコストがかかると思います。
できる範囲で環境を整えリモートワークに対応できるようになれば、不必要なものが除外されスムーズにすすむようになるし、雇用されている人もより満足すると思います。
参考までに私が体験したリモートワーク環境をシェアしました。